「ペンギンハイウェイ」を読んでみました

cosmos222012-09-22

何カ月も前に、娘から森見富美彦さんの「ペンギンハイウェイ」という本を読むことを薦められていていましたがなかなか読み終わらず今日まで時間がかかってしまいました。

この本は郊外住宅地を舞台にして「未知との遭遇」を描こうとした小説のようです。
小学四年生の男の子が、突然街に現れたペンギンや次から次へと起こる不思議な現象を研究してゆく、という物語です。

この物語の中で、少年が研究に頭を悩ませていた時に父親がアドバイスをくれたのでした。
〈お前の研究がどんなものかはわからないけれども、父さんが前に言ったことをおぼえているかい?おまえが解く問題とはなにか?それらの問題の正体は結局一つの問題かもしれないからさ…(省略)…毎日の発見を記録しておくこと。そして、その発見を復習して整理すること。〉
〈大きな紙に関係あることを全部メモしなさい。発見した小さなことをね。大事なことは、紙は一枚にすること。それから、できるだけ小さな字で書くこと。…(省略)…いろいろな組み合わせを頭の中で考える。ずっと考える…あるときいろいろなものが突然つながるときがくるよ…〉〈解決しないほうが本人にとって幸せ…しかし、まわりがそれをゆるさないときもある〉

一見、ただのノートの取り方を教えているように見えましたが、
全体的なモノの見方、考え方を教えてくれているように見えました。
そして、優秀な頭脳の持ち主で独特な個性をもった息子のことを、父親は心配しながらも理解し見守っているのだと、だからこの少年は安心してその独特な個性を発揮し伸ばしてゆけるのだと感じました。

一人一人違う個性を引き出しながら子供を成長させるということはとても大変ですが、
どんな子供でも未来を繋ぐ役目があるのだと、私も温かい気持ちで見守ってゆきたいと思うのです。

この物語の最後のほうで、少年は〈大人になったら宇宙飛行士になりたい〉と言っていましたが、この少年ならばきっと夢で終わらせないのだろうな…、と考えます。

 先日、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の星出彰彦宇宙飛行士と野田佳彦首相が、衛星回線で交信しました。
その時に首相は、「アメリカ、ロシアのクルーとも一緒だと思うが、長期間、狭い空間で仲良くやっていく秘訣(ひけつ)はあるんですか」と質問すると、星出さんは
「それぞれ違うキャラクターを持っていますが、尊重しあうことと、互いに助け合うこと」とアドバイスされたそうです。
星出さんの母校の児童が「地球になくて宇宙にあるものは何ですか」と質問すると、
星出さんは「地球を外から見る視点は、地球にはない。ものを外から見ることは大事で、
地球の外に出ることで、地球のことをより知ることができる」と答えていました。

宇宙飛行士になるような人は話すことが違うな、とても広い視野でモノを見ている、
と感じました。
そして、どこか「ペンギンハイウェイ」に出てきた少年の父親の感じにも見えてきました。
同じ空間に、自分とは違う人と長く居ると相手の欠点が目につき、お互いを理解しようとすることから遠くなってしまう、そうなってしまわないように「尊重する」、「助け合う」ということが必要なのでしょう。
簡単なことのようで、大人の世界には難しいことなのでしょうか…。