昔と今と

cosmos222015-05-28

昨日は一日何の予定もなく過ごしてしまうのがもったいなかったので映画館へ行き北野武監督の「龍三と七人の子分たち」を観に行きました。
以前何かの番組でこの映画の宣伝をしていたのを観てなんとなく惹きつけられてしまった映画でした。

主人公があの藤竜也で引退したヤクザの元組長、今では金も居場所もなく毎日肩身の狭い思いをしながら老後をおくっている。
そんなある日、オレオレ詐欺にひっかかり詐欺で人々を騙す若者たちを成敗させるため、昔の仲間(平均年齢70歳)を呼び寄せて世直しに立ちあがる…というストーリー。
この老人たちがこの中でやっていることは現在の子供でも真似できないようなどこかハチャメチャ劇で滑稽。義理と人情が熱く命を惜しまず突っ走る。
その一途なばかばかしさがコメディで笑えるんだけど、どこかやりすぎていて社会からも家族からも見放されている。今の世の中の現実性に欠けていて、自分とはかけ離れた遠くのものに見えてしまう人もいるかもしれない、と感じました。
ただこういう人は現実にはたくさんいて今も町の片隅で生きています。
今回はあちら側の老いてゆく人たちに光を当てた映画なんだろうか…と考えました。

そして今も増え続ける「オレオレ詐欺」。
この詐欺グループはこの義理と人情の血の気の多い老人達とはマ逆で、言葉巧みに相手を騙しまるで人間を「金」、「モノ」、として扱う集団です。
なにか今の世の中、政治的な流れなどそのものが反映されて鏡のように見えてきてしまいました。
そういうことはひとつの家庭の中にも多かれ少なかれ浸透し場合によっては骨肉の争いにも進展するケースもあり最終的に不幸な結末を迎えてゆくようにも考えました。
時代は変化してゆきますがやりすぎてしまうと収拾がつかなくなってしまうのだと、そんなふうに感じた映画でした。