本の感想「老いる」とはどういうことか(講談社+α文庫 河合隼雄著)

cosmos222012-07-25

この本は新聞の夕刊に連載されたコラムを一冊の本にしたそうです。
ひとつの章が短文で読みやすかったです。

この本の中で、私が気になった章のひとつは〈雑巾がけで目覚める〉でした。
経済的に恵まれた高齢の女性がだんだんと宗教に関心をもつようになり、そのような活動に参加をされるようになったある日、夢を見たそうです。

〈高名なお坊さんの話があるというので出かけてゆくと、(…省略…)≪あなたには特別大切なことを教えましょう≫
と言われ、大喜びをすると、一枚の雑巾を渡され、アレッと思って目が覚めた。
この方はこの夢について考えられ、自分にとっては「ありがたい話」を聴きに行くよりも、家で雑巾がけをしていることのほうが「宗教的」であると判断された〉ということでした。

私も以前、自分が掃除機をかけたり箒で掃いている夢をよくみていた時期がありました。
その時期は家の中を片付けることから遠ざかっており、来客などは恥ずかしくて呼べない状態でした。
おそらく「自分の中の整理することが出来ない困難な出来事やまとまらない思考」を「散らかった部屋」が物語っていたのかもしれません。
自分の部屋はその人の内面を現わしているもののように思います。
その時期はその時期として必要な期間であるのかもしれません。無理に捨ててもすぐに散らかります。
少し前に断捨離という言葉が流行りましたが、思い切って処分されてもその時は気分はいいのですが、しばらく経つと空いたスペースにまた何か新しいモノを購入してしまいリバウンドをされる方もいらっしゃるようです。
経済効果はあるかもしれませんが…。
そこまで思い切ったことをしなくても、毎日少しずつ汚れているところに雑巾をかけてゆくことを繰り返してゆくうちに、いつの日か納得のゆく自分自身と出逢うことができるのではないか、と考えました。